*米国「Noetic Films」より許可を得て、転載しています。

【映画『砂漠の魔術師』について】

erickson-stationaryこのドキュメンタリー映画は、現代催眠の創始者とも言われる、
故ミルトン・H・エリクソン医博の卓越した業績と人生の探究の物語です。

ミルトン・エリクソンというほとんど知られていない、このアメリカの心理療法界における不世出の天才は、
時に過激で、型破りとも言える催眠技法を使った精神科治療のパイオニアであり、
その催眠技法は患者への治療だけでなく、エリクソン自身の身体を襲った麻痺や痛みの治癒にも使われていました。

ミルトン・H・エリクソン医博の業績は、『コミュニケーションのモーツアルト』と称され、
当時の科学のコミュニティに治療的介入の効果的で新たな理論を持ち込んで衝撃を与えたのです。
しかし、私たちの目的は、彼の個人的な人生の歴史に新たな光を当てることでした。
ネヴァダにあるオーラムという海抜2300mの高地にあり、やがてはゴーストタウンとなる銀鉱山のコミュニティで、
彼がどのような子ども時代を過ごしたのか、そしてポリオ(小児まひ)から九死に一生を得て生き延び、
やがて心理療法と催眠療法の革新的な天才と称されるようになるまでにどんなことがあったのか?…

麻痺や慢性痛、衰弱する筋肉の痛みや疲労を克服するために、
エリクソン博士は、無力感と絶望しかなかった彼の医者の予後と診断を無視し、
マインドと身体、そして精神をコントロールする催眠の方法を次々と編み出しました。
他に例を見ない彼の業績は、彼が真の天才であることを知らしめ、
彼自身が開発した催眠技法を通して、
膨大な患者に希望と治癒という救いを与え続けているのです。

この“Wizard of the Desert”、『砂漠の魔術師』という映画において、
私たちは卓越した才能を持ち、強い規律を持って、厳しい痛みや麻痺、医学的に絶望視された状況に勝利し、
死後永きに渡ってその「人生との関わり方」が多くの人を鼓舞し続けている、
車いすの人間の生き方を目の当たりにします。
患者との関わりにおいて、彼自身とその家族に対してさえも妥協を許さなかったエリクソン博士のストーリーは、
医療とは何かという哲学的問いを再定義し、多くの人々をいまだに魅了して止みません。

生前、彼と親しくしていた人や家族、家族同様の人達の目を通して、
私たちの映画は、このアメリカの天才の三つの側面を明らかにして行きます。
ひとつは、『コミュニケーションのモーツァルト』として永遠に記憶される彼の催眠と現代心理療法への貢献、
またひとつは、枠にはまらない、型破りな彼のあり方、
そして最後に、傷ついたヒーラー(治療者)としてのミルトン・H・エリクソンの姿です。

【映画監督について】

alex-scarf1ドキュメンタリーにしても、物語にしても、
オーストリアの監督である、アレクサンダー・ヴェズリーの映画はとてもユニークです。
彼は、観客を魅了する卓越したストーリーテラーであり、
彼の作品は、多様な個性を織り上げて一つの体験を作り上げることで定評があります。
ヴェズリー氏は他の監督とは異なるやり方で、独立系の映画プロジェクトに関わっています。

20年に渡る、ヨーロッパと南アメリカのさまざまなプロジェクトにおける監督業を通して、
心理療法と映画の直接的なつながりという、彼の監督としてのヴィジョンは彼自身の作品に深く染み渡っています。
彼は、彼の心理療法家としてのトレーニングが、人間の心の動きを理解することに役立っており、
俳優や編集者、作家やその他のクリエイターとの取り組みにおいての心的力動の理解が、
結果として高品質で低予算での映画制作の達成に役立っていると信じています。
ヴェズリー氏は現在オーストリア、ウィーンに在住、そして世界中でプロジェクトを進めています。